どどど

だっしゅつ

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』/「君たちはどう生きるか」

 

 

 ぜんぜんまとまっていないけれど、今書いておかないといけない気がする。

 

 この物語が根を下ろしているその土壌に、染み込んでいるであろう学問的な知識…特にそれは音楽にまつわるもの…を、今のわたしは持ち得ていない。

 そうかんじる。現時点では。

 と、いうことは、そこを少しでも掘れば、物語全体をつらぬくなにかにもうすこしだけ迫れるかもしれない。

 

 それで、「物語全体をつらぬくなにか」と書いているときに、先々週みた映画「君たちはどう生きるか」を思い出した。

 あの映画も、わたしは、その全体をつらぬくものをはかりかねていたんだな、と今気がついた。

 各シーンごとに、アニメーションや出来事、描かれている模様に心が動いてはいたものの、たぶんそこがまとまらずにいた。いる。

 

 いろんなことはまとまらなくて当然なのだけど、なにかきっとつらぬいているものがあるに違いないと感じるのに、それをつかめないのは、わたしが見落としていたり追いついていなかったりするからだろう。

 きっといつか先の時点で、突然にふわりすべてがつながり、「あっ」と思うときがやってくる。現に、読み直した『多崎…』では、拾える点が増えていた。

 

 夏のうちに、両方とももう一度ずつ読めたら/観られたらいいのだけど。どうだろう。関わりのあるものを読んだり観たりもしたい。関わりのないものも。

 

 

8/16 追記

 

 「多崎つくる」という人物への興味が、昨日からふくらんできている。そういう書き方がなされているように感じる。タイトルが第一印象、物語のそれぞれの場面で少しずつ明かされてゆくような心地。

 とはいえタイトルのもう半分は、『彼の巡礼の年』。「巡礼」ではなくて「巡礼の年」という言葉が選ばれているから、物語にもたびたび登場するフランツ・リストの一連の楽曲「巡礼の年」についてもう少し知りたい。

 そうすれば、「多崎つくる」という人物からの切り口と、「巡礼の年」という音楽からの切り口とからこの物語をひらいてゆけるはず。

 

 それと今裏表紙の簡単なあらすじを読んだときに、「完璧な調和」というのも目に入った。調和もハーモニーだものな。ふむ。